ペペロン頭脳

ソフトウェアエンジニアのメモ的なアレ。

14年間勤めたSIerを退職してスタートアップに行く(転職活動編)

14年間勤めたSIerを退職してスタートアップに行く(退職決断編) - ペペロン頭脳
上記のように決断をして、転職活動を開始したのだった。
これが2023年の7月下旬。

どういう方向の転職にするのか

自分はソフトウェアエンジニアである、という意識はどうにも変えられないし変える必要はなかろうと思った。
ただ、口でそうは言っていてもここ数年はいわゆるリーダーであり営業であり…といった役割で、一線でコードを書いていたわけではない。総合デジタルビジネス御用聞きとでも言ったほうがいいかもしれない。
しかしどうせなら思いっきりdevに振り切って転職活動してみようと考えた。20代の頃からくすぶって、色々理由を付けて選択しなかった道を今から目指してもいいじゃないかと考えた。
うちにも採り入れられるものを拾おうとして読んでいた技術ブログとか、登壇スライドとか、そういうものを遠く仰ぎ見るだけじゃなくてその世界に行こうと。コードが価値に直結する世界に行く!と決めた。

しかしなにぶん転職活動は初めてで、自分の市場価値というのがまるでわからない。足りないところはいくつも並べられるが、前述のように日々の仕事と生活で手一杯。武装してから転職というのも現実感がなかった。40手前のこの年齢・この実績で不安はあるが、案外採ってくれるところあったらいいな… という感じでスタートした。

ogijun.hatenablog.com
なお上記は転職決めた直後に見かけ、大いに勇気づけられたエントリ。まさに「ソフトウェアエンジニアになりたいんだ!」という気持ちで転職活動に臨んでいた。

Findyに登録した

ちょうど始めようという時期に、年齢的にもドンピシャなこの方の記事が上がってきて大いに参考にした。とりあえずFindyというのが良いらしいと。
→ Findyさん、エンジニア視点の要望をよく汲んで求人紹介してくれるし伴走も頼もしく、他を併用する必要ありませんでした。
ksss9.hatenablog.com

まずプロフィールを埋めていくわけだが…
このブログも一番書いてたのは10年くらい前、それも大した内容と頻度ではない。GitHubも草を多少なりとも生やしていたのは2017頃まで…。QiitaもZennも書いたことない。
が、恥は捨てて持ってるものは全部連携させて、職務経歴も主要なプロジェクトについて書いた。
職務経歴についてはほぼテンプレ通りに案件内容と使用技術と自身の役割ついて触れつつ、自身がその中で「何をして」「プロジェクトや自分がどうなったのか」を必ず書くようにしていたし面談でもしっかり説明できるようにしていた。

ここ最近のプロジェクトの役割はだいたい「フルスタックエンジニア」「テックリード」になった。他に該当するのがなくて…
嘘ではないのだが… SIerでも数百万〜3,000万円規模のプロジェクトばかりやっているとせいぜいメンバーが3〜10人とかで、必然的にレイヤーは上から下まで見ることになる。よってフルスタック。
そこでリーダーやっていると技術選定とかベースのアーキテクチャ描いたりする。よってテックリード
前職は人材がジョブで分かれる組織になっておらず「営業/PM/PL/メンバ」という分かれ方。「メンバ」は良くも悪くも何でもやる方針。
この辺が一般的なWeb系の組織の形と異なるため、誤解が無いように面接でも色々と説明が必要になった。

あと印象的だったのが、資格欄がないこと。
僕のいたSIerでは資格取得は重視されており、入社前から基本情報の勉強、若手のうちに応用情報まで取れ、そのあとIPAの高度試験にチャレンジしろという流れだった。いずれも合格すれば受験費用と報奨金が出る。あと中堅以上向けの社内認定を受けるのにも、実務経験に加えて資格要件がある。僕はこれのためにAWS DOPを受けた。
こういった保持資格については記載するところがそもそもなく、面接で聞かれることもなかった。文化圏が違うなと感じた。

そういうあれこれを経つつ、入力できるものは全部入力してエージェントと面談し、企業の反応を待った。

「いいね」をそこそこもらえた

なんだかんだ反応はそこそこもらえた。世の中にはこんなにたくさんTech企業があり、こんなに多くの求人があるのかと世間知らずを自覚した。

いいねが付いて、こちらからも話聞いてみたいなと思うところに返して、まずはカジュアル面談しましょうとなる企業が10弱あった。
最初のうちはどんな企業があるのか、エンジニア組織のカルチャーがどんなものかも知らない状態なので手当たり次第面談を申し込んだ。
「子供の用事で1時間抜けます」とか休憩扱いにしてGoogle Meetしていた。訪問無しで話ができるいい時代になった。

色々と聞いているうちに、自身の経歴についてはわりと好意的に捉えてもらえることがわかった。純粋なエンジニアとしてはブランクが数年あるものの、そこまでに身に着けた土台やリーダー・営業等のプラスアルファは評価されていると感じた。

あと事業領域についても幅広く見ていたが、どうも自分はWebマーケティングとかファイナンスとかにはピンと来ないことに気づいた。
ドメイン知識を全く持っていないというのに加え、物理的な形がないものに惹かれない質ということに今更ながら気付くなど。
一方で、現実のハードと繋がっているサービスや一次産業・二次産業DXには興味を持った。選考まで進んだ企業はいずれもここに含まれる。

ちなみに大手企業やメガベンチャー系がいいねをくれることも少なくなかったが、勝手にビビって敬遠していた。
なにぶん、言葉としては知っているが実践経験なしの領域が多く、ハイレベルエンジニアを求めている組織では即戦力にはなれない自覚があったため。
「あー、スクラムですね!えっと、本は読んだことあります…。なんちゃってなら少しやったことあります…」
「DDDのドメインオブジェクトの役割ですか!あー、えー……」
年齢的にこの辺りの経験が豊富で自分の言葉で語れて登壇経験もありますよくらいじゃないと戦えないんじゃないかと。
Findyの職務経歴だけみるとそのレベルの人材に見えちゃうかもしれないけど、そこまで到達できてなくて… あとコーディング面接とかも勘弁してください…
(受けてたら案外イケたのかもしれないがもはや知る由もない)

こういう志向だったため、コンタクトを取ったのは自然とスタートアップに絞られた。
選考まで進んだ企業に対しては現在のレベル感については正直に伝えた上で、先方の求めるレベルや重視することについても話してもらい、感触を確かめながら進んでいった。
「今から学習だときついっすよ」と暗に言われるケースもありはしたが、ほとんどの企業ではdev頻出用語で会話ができて、アプリでエラーが出たときの問題切り分けのプロセスなんかが説明できれば問題ない、自学できるならばOKという感触だった。それよりも長く働いてもらうためのカルチャーマッチを重視しているところが多い印象だった。

そして内定、受諾

8月から活動を本格開始して3ヶ月半、
数十社の「いいね」を精査し、前述の通り10社ほどとカジュアル面談を行い、そのうち3社の選考に進み、1社はすぐにお祈りとなり、もう2社は内定をいただくことができた。

上司に退職を切り出すのも辛かったが、この2社から1社を選ぶのも同等に辛かった。提示された待遇はこちらの意向を汲んでもらいほぼ同等、人・チームでは優劣付けられず、事業内容はまったく異なるがどちらも面白く社会的意義がある。
最終的に、出勤時の経路とリモート率で判断することとなり、僅差で次点となった1社に辞退の連絡をした。こちらをとても評価してくれて、ぜひ来てほしいと言ってくれて、しかも自身の趣味の部活まである環境だったため苦渋の決断だった。

どちらも飲みながらの面談や、内定前から全社ミーティング&懇親会などに呼んでくださるなど、スタートアップってこういう感じだよな、楽しいな、という体験をさせてもらった。
各社、採用をとても大切にしていることがよく伝わってきた3ヶ月半だった。

これから

先日の最終出社を経て、有給消化中。
40日フルフルで溜まっていた分の半分も消化できなかったが…強気になりきれず、できるだけ後任に押し付ける仕事を減らしたいのと早めに次へ入りたいのとであまり休めなかった。
気になっていた技術書をいくつか買ったが、順調に積読中…

2/1から新しい仕事が始まる。
技術スタックとしては、Node.js, TypeScript, Nuxt.js, Firebase(Cloud Functions, Firestore), など。
いままでAWSでやってきた人間なので、GCPは早く乗りこなせるようになりたい。あと素のVueしか触ってなかったのでNuxtもお勉強だな…

兎にも角にも、色んなことが半端だった「SE」から、憧れていた「ソフトウェアエンジニア」にようやくなるのだ。
やっていく。