ペペロン頭脳

ソフトウェアエンジニアのメモ的なアレ。

SIerからスタートアップに転職してみて

はや4ヶ月が経過した。なのでそろそろ書いてみる。

TL;DR

めっちゃいい。
転職成功した。

2/1にスタートアップへ入社しました

あまり無邪気に所属を公開するタイプではないので、いずれ書ける時が来るまでは現職企業は伏せておきます。
何卒ご承知おきを。

以前書いた転職活動を経て、退職のあれこれを片付けて無事入社することができた。
現職はSaaSとかではなく物理的なサービスを提供している企業。ハードウェアを扱う部門や現場オペレーション、営業部隊等々がおり、その中にソフトウェアエンジニアやPdM・デザイナーが所属する部門もあるという形態。
ユーザーとの接点となる部分やオペレーション業務にソフトウェアが重要な位置を占めており、各専門領域のソフトウェアエンジニアが幅広く揃っている。

その中で自身のポジションはバックエンドエンジニア、コンシューマ向けアプリのバックエンド担当。TypeScriptがメイン。
前職でスタンダードだったAWSからGCPに乗り換えたが、クラウドネイティブな環境という意味では大差ない。

なおこれを書いている現時点ではチームのリソースに余裕が出ているが、入社時点では色々あってバックエンドメンバーが不足気味で、初日からプロダクトのコード読み込んで翌日にはプルリク出しているというハードなオンボーディングを経験した。
これがスタートアップか…!!気を抜くとやられる…!!と思ったがかなり例外であった模様。
(僕の翌月に入社した同僚はもっとマイルドなオンボーディングだった)

そこで数ヶ月過ごしてみての感想・個人的な課題をざっとまとめてみる。

「不」のほとんどが解消した

ソフトウェアデベロップメントに集中できる

そういうポジションで採用されたんだから当たり前といえば当たり前なのだが、
開発やりつつ技術がわかる営業として動いて見積り作って稟議通してマネジメントもして会議で喋りまくって特許だの何だのもやって、という自分が何屋なのかわからない状態を脱することができた。
開発の中でもフロントも見てバックエンドも見てアプリにも口出してみたいな何でも屋ではなく、バックエンドにフォーカスして仕事できるのが嬉しい。

Developer Experience が向上した

希望した通りM3のMBPでメモリ36GBが支給された。これは前職では考えられないハイスペマシンである。
また、Teams・Outlook・Backlog・エクセルパワポな世界からSlack・Notion・GitHubFigmaGoogleスプレッドシート/スライドな世界に転生した。
最初の1ヶ月くらいは「これが文明か…」と感慨に浸りながら仕事していた。
あと無駄な認証プロキシとか通さなくていいのがストレスフリー。

メンバーもPdMがいて、iOS, Android, Webフロントエンド/バックエンドとそれぞれのプロがいて、QAチームがいて、SREもいて、ちゃんとCI/CDが整備されてて各種メトリクスやアラートも上がるようになっていて… というあれこれが高いレベルで分業されていて快適すぎて泣いた。
前職ではどの道の専門でもない「SE」数人がそれぞれ真似事でやって課題はたくさんあるけど手が回らないという状況だった。

前職はわりと今いるプロパーでなんとかする志向が強かったけど、やっぱそれで作れるものって限界あったよな… と振り返るなど。

社内イントラの苦痛が解消した

勤怠とか経費精算とかその他諸々がイマドキのSaaS利用になっている。
Edgeでしか動かなくて10年くらい古いセンスかつ超絶難解で検索キーを指定するための検索とかが必要な、UXが事故ってるシステムを触らなくて良くなった。

納期に追われない

もちろんマーケティング連動などで期日が切られているタスクはある。
が、それはPdM側でコントロールして余裕をもったスケジュールにしてくれるのでデスマみたいになることはないし、その他も差し込みが増えたり技術課題が途中で見つかったりすればリスケは柔軟にできる。
ちなみにスクラムしっかりというスタイルではないが2週間単位でスプリントを切って進めている。毎週のリファインメントで上記のようなスケジュール調整を行う。

おかげで、さすがにゼロにはなってないが精神的に切羽詰まったり深夜残業ウィークに突入することがほとんどなくなった。

前職はほとんどが請負開発で、ガチウォーターフォールだったりイテレーション開発だったりしたがとにかく要件を頭で決めて納期に向かって作っていくプロジェクトがほとんどだった。そして受注後に差し込まれる追加要件、委託先から出てきたデモ版がバグだらけ、そのタイミングで膨らむ顧客要望…
もちろん要件があとから追加になったり変更されるのは自然なことだ。が、アジャイルの文脈で散々言われているように納期が絶対的な契約でそれをやるのはまったく健全ではない。

そのほかのよい点

みんな強い

言い方があれだが、能力的に困った感じの人がいない。
いまだ組織としては小さく採用も少しずつ慎重にやっているため、ほぼ中途で力のある人のみ採っている。プロダクトに個性があって強い魅力となっているのもあるからか、けっこう有名どころ出身のつよつよメンバーが多い。
SIerから、それも大手でもない子会社から来ましたなんて人はどうやら僕くらいである。

前職だと、あのチームの若手は期待値下回ってるとか全然育てられてなくて◯年目なのに何もできないとか、あのおじさんは何もしないとか〇〇しかできないから異動もできないとか、
またそういう話題を肴に飲むような暗い文化があったが…そういったものとは無縁な世界に来ることができた。

みんなオーナーシップが高い

エンジニアでも技術レベルだけでなくカルチャーマッチやプロダクトへの共感、プロダクトファーストな志向を重視して採用しているため、プロダクトやユーザー体験をいかに良くするかみたいな意識が皆つよい。
ポジション関係なく改善活動に噛んでいったり、やれそうなことはやっちゃう文化がある。
言われた開発だけやってるみたいなつまらなさとは無縁。

部署間・チーム間・メンバー間でお互いリスペクトしあっている

べつに宗教っぽいとかそういうんではないんだけど、自然とそうなっている。
基本なんでも対応したらありがとう!だし、どっちかというとこっちのミスな場面でもありがとうすみません🙇‍♂よろしくお願いします🙏的なコミュニケーションが交わされる。
あそこの部署がしっかりやらねぇから!みたいな憎しみの連鎖が全くない。 (前職にはあった😞)

フラットな組織

これもまた少人数だからというのもあるが、上はいきなり部長兼役員で下はみんなフラットな構成になっている。
ほとんどの活動は現場の合議で決められるし、上の判断が必要なことでも距離が近いので話が早い。
自分とこの課長を通して部長を通して、営業部の部長にも話通して、事業部長にも、本部長にも… みたいなプロセスが必要ない。

めちゃくちゃ褒めてるが、不満点はないのか?

ある。
オフィスに自販機がない。お菓子とか置いてない。
スタートアップなのに芝生とか卓球台とかゲームできる部屋とか寝ながらコード書くようなスペースがない。
めちゃくちゃ質素。やってるサービス自体は派手寄りなのに。

エンジニア以外もリモートが主体でオフィスがあまり重視されてないというのも大きいが…… もうちょっと遊んでもよいのではないかと…

不満はそのくらいです。

個人的な課題

そういう環境に来てみて自分自身はどうなのか?というと。

「この会社・チームでバックエンドエンジニアとして機能はしている」という自己評価である。及第点には達していると思う。試用期間で首切られなかったし。
ただし、技術力だったり組織に貢献するためのフットワークだったりはまだまだ伸びていかんと!という状況。

ブランクがあったとはいえ最初の頃はコードレビューでボコボコに指摘入ったこともあったし、
今もアーキテクチャに関する議論になるとビジネスと技術を天秤に掛けて「俺はこう思う」みたいな発言がうまくできないし、そのへんのバックグラウンドになる知識や経験がまだまだ浅い。

それに期待される動きとしてはただ開発タスクをこなすだけではなく、開発の足回りを改善したりエンジニア組織を成長させたりというのもあるわけだが、まだそのへんについてあまり貢献できていない。
もうチームには馴染んで日々の開発は回せるようになってきたし、そろそろステップを進めていかないと… という今日このごろ。

やるしかないし、やったほうが楽しいし、やっていく。